夜  話  

その時の、ランの顔は今でも覚えている。


すでに、かなりの月の光を運んでいたランは、かなり存在が危うい状態になっていた。


もう、女に月の光をやる余裕なんて、カケラもなかったんだ。


なのに。


奴は、はかなげな、透明な笑みを。


とてもうれしそうに。


浮かべた。