夜  話  

ランの奴は、せっせと月の光を運んだ。


すべての義務を放り出し、
務めを投げ出し、
みずからを振り返る事も忘れて。



ただ。




その女が自分の歌声に満足するたびにみせる、笑顔が見たい。



それだけの願いを叶える為だけに。


ランは、運んだ。