春の陽は早くも、もう落ちかけていて。


あたりをやわらかな蜜柑色に染め上げていました。


普段、高層の建物から見ている景色とは、全く違う表情を見せる2階からの眺めを堪能しながら、わたしは胸に抱いた小さな命をそうっと撫でていました。


やわらかな柔毛は、触れているとなんだかくすぐったくて、わたしの頬には自然と笑みがこぼれます。


わたしの腕の中では、そんな陽の光を受けてほのかに紅く見える小さな顔が、ぷくりとした紅い唇に満足げな呟きを浮かべていました。