夜  話  

長くて。


短い。


ほんの刹那の濃密な時間が過ぎた後。


わたしの部屋には、まるで皎という存在は幻であったかのようになんの痕跡も残ってはいませんでした。


けれども。


確かに、わたしの中で息づいている皎という存在を。


わたしは感じ取っていました。


「貴方は言葉にしてくれはしなかったけれども、あなたのお母さんが貴方に付けた大切な貴方の名前は、ちゃんと受け取ったわ。」


わたしは、わたしの中の存在である皎へと話しかけます。


皎に手をさしのべることは出来なかったかもしれませんが、皎の母は素晴らしい贈り物を皎に贈っていたのです。