夜  話  

すると、ほろりと堅い蕾がほころぶように強張った皎の表情が少しだけ緩みました。


瞳の上に浮かんでいた悲壮感を感じさせる暗い色も少し和らぎ。


皎はわたしの手の中に囚われている自身の手を、自らの意思でわたしの指に絡めてきました。


「………誰かの話をするのは、自分の事を語るよりも気が楽なんだな。」


少し照れたように。


そう言いながら微苦笑を浮かべた皎は、わたしの指に絡めた手をそのままに、再び表情を引き締めて静寂の支配するこの部屋に、その菫青色の声を流し始めたのでした。