夜  話  

深く腰かけたソファに身体を沈み込ませたわたしは、浅く腰掛けただけでこちらを見つめている皎へと視線を上げました。


そして腕を伸ばし、所在なげに握られていた皎の手をとって、そうっと両手の中に握り込みました。


思った通り、わたしよりほんの少しだけ冷たい皎の手が、わたしの手のひらの中でじわじわと彼の体温を伝えてきます。


それがなんだか、彼の心がわたしに伝わってきているようにも思えて、わたしは固い決意を決めているのだというのに、じんわりとわたしの胸に浮かんできたやわらかい感情のままに、笑みを浮かべたのでした。