吹きすさぶ風は、積もっていた雪片を巻き上げながら荒々しく吹き抜けていました。


吸い込まれそうな印象を与える、怖いぐらいに深く澄んだ濃い藍色の空には。


ちらちらと頼りなげに瞬く小さな星達と。


冴えざえとした銀色の光を豊かに放つ、大きな月が。


朗々と静寂の詩を謳いあげているばかりでした。


いつも空を見上げている窓を開け放ち、部屋の中を冬将軍の配下の北風に好きに蹂躙させながら。


わたしは、ただひたすらに待っていました。


心の底から待ち望んでいる人物が現れる。


その時を。