夜  話  

月の使いであれば、小さな風を扱う事はたやすい事だった。


声を風に乗せて運ぶことなど、天を駈けるのと同じぐらいに自然に出来る。


ゲンはだから。


星見から少しずつ距離を取りながらも風に乗せて言葉を星見の元へと運んだ。


「この辺りまで離れたなら、俺の顔を見ながら話が出来るのか?」


ずいぶんと距離をおいて、そう問い掛けたゲンに、星見は目を見開いた。


「そんな遠くから話をしていて、何故近くから話しているように聞こえるのだ!」


そう言って驚く星見に、ゲンは楽しくなり、珍しく笑みを浮かべた。