夜  話  

凛、と通る声に射ぬかれたようにゲンはその場に縫い止められた。


高く結い上げた長い髪がさらりと揺れ、閉じられているはずの瞳がゲンの浮かぶ空間を真っすぐに捕らえていた。


「人外か?こんな所へ何の用だ?」


微かに眉を寄せた表情で、その人物はゲンに問いを発した。


「あ…。あぁ。人間ではないな。…お前こそ、何者だ?俺に気付くなんて、只者じゃないよな?」


突然に存在を見抜かれて驚かされたゲンは、らしくもなく素直に答えを返した。


「私か?…私は星見だ。
ただ、星見だ。
それ以外の何者でもないし、
何者にもなりはしないし、
なれもしない。」