夜  話  

「『お話してちょうだい。』でいいのかしら?」


わたしが少し笑いながら、そうお願いすると皎は少しほっとしたような表情を浮かべながら頷き、わたしの隣へと腰掛けました。


皎の動きにスパイスティーの薫りがついて動き、ふわり、とわたしの鼻先を掠めます。


少し甘い、そして少しエキゾチックな薫りの向こうに皎の姿が重なり、わたしはぎゅうっと心臓を捕まれたような気持ちになりました。


そんなわたしの心の内も知らず、皎はわたしの手を取って指を絡め、もてあそびます。


そうしてもう一方の手に持ったマグカップから立ち上る薫りを愉しみながら、話を始めたのでした。