夜  話  

「聞きたいのか?」


触れるほどの近くから、紅珊瑚色の唇が囁いた声にわたしの心臓がどきん、と跳ね上がりました。


皎の声はそんなに近くで囁かれると、果てなく心拍数が上がりそうになる程に素敵だというのに、皎自身はちっともその事を自覚せずに、無邪気にこんな事をするのです。


わたしは跳ね回る心臓を落ち着かせるために、ソファに腰掛けて片膝を抱え込むようにしっかりと抱き込みました。


「………どうする?」


そう、問い掛けられて。


わたしはとうに決まっていた答えを口にしました。