夜  話  

「……聞きたいか?」


急に皎が振り返って、わたしにそう問い掛けました。


「………え?」


突然投げ掛けられた問いに、わたしはすぐには返答できずに止まってしまいます。


そんなわたしを見て、皎はまた小さく笑みを浮かべました。


「言葉にしなくても、おまえの顔いっぱいに書いてあるじゃないか。『その人は誰?教えて。』…ってな。」


そう言いながら皎は近づいてきてわたしの頬に触れました。


「お話してちょうだいってここに書いてあるみたいだぞ。」


「うそっ!」


わたしは慌てて、自分の顔を隠そうとしましたが、皎はそれより早くわたしに顔を近付けて囁きました。