わたしのその問いに、皎は黙ったままで少し照れたような笑みを浮かべ、手を上げて風を呼びました。
そうして、小さなつむじ風のような風をカップの周りに廻らせたかと思うと、窓の外を指し示して送り出します。
その風の行方をしばらく見ていた皎はぽそり、と言いました。
「月の世界から出ようとしない変り者の知り合いだ。こういった良い薫りのものが、あいつは好きなんだ。」
明るく輝く月の方へと向かって空を駆け上がって行った風を目で追い掛けているかのように、だんだんと視線を上げながら皎は言いました。
そうして、小さなつむじ風のような風をカップの周りに廻らせたかと思うと、窓の外を指し示して送り出します。
その風の行方をしばらく見ていた皎はぽそり、と言いました。
「月の世界から出ようとしない変り者の知り合いだ。こういった良い薫りのものが、あいつは好きなんだ。」
明るく輝く月の方へと向かって空を駆け上がって行った風を目で追い掛けているかのように、だんだんと視線を上げながら皎は言いました。


