朝から音もなく静かに降り続いていた粉雪は、いつの間にか降り止んでいました。


そうして眼下の街を真白に染め変えていたのです。


赤子を包む産着のように、街をすっぽりと包み込んでしまった白雪は、豊かな月の光を受けて幻想的に景色を浮かび上がらせ、竜宮城もかくや、とばかりに絵画に残すことの出来ない程の自然の美しさというものを、わたしに見せ付けてくるのでした。


きっと写真に残したとしても、今のこの感動を覚える程の美しさを全て表現することは出来ないのでしょう。


ならばせめて心のアルバムにだけでも、しっかりと焼き付けておこうとわたしは思いました。