夜  話  

「わたしと同じような事を言っていた人がいるの?」


見上げたまま尋ねたわたしに、ふ、と意識を戻した皎は、南天色に美しく彩色された形の良い唇を笑みの形にして、わたしを見ました。


「むかし、な。……聞きたいか?」


くすり、と笑いながら皎は問います。


その表情に少しどきりとしながら、わたしは少し考え、ためらい、それでも頷いて言いました。


「……聞かせてもらっても良いのなら。」


わたしのその答えに、皎はもう一度わたしの髪をなで、言いました。


「ダメなら、始めから言いだしたりなんてしないさ。
………あれは、むかし。
そう、俺がようやく月の使いの仕事を一人前に出来るようになった頃だった……」