「辛い思い出ではないの。……どちらかと言えば、暖かい思い出かしら。少し心に痛みは走るのだけれど。」
そう言いながら、わたしはすぐ傍にある皎に微笑みかけました。
「箱の中で、ひとりだけ綺麗なままの白いクレヨンは、淋しいんじゃないかな、と思っていたの。」
幼い頃のわたしは、そう思ってしまって、大好きだったあの人に泣いて訴えたのでした。
「でも、ある人がね。今日みたいな素敵な夜空をわたしに見せてくれて、こう言ったの。
『ほぅら。夜空にも雲はあるよね。月の光に照らしだされた煌めく色も。こういった色を描くためには、白のクレヨンは絶対に必要だよね。』
………そう言って、その人はわたしに黒い画用紙をくれたの。これを夜空だと思って描いてごらんって。」
そう言いながら、わたしはすぐ傍にある皎に微笑みかけました。
「箱の中で、ひとりだけ綺麗なままの白いクレヨンは、淋しいんじゃないかな、と思っていたの。」
幼い頃のわたしは、そう思ってしまって、大好きだったあの人に泣いて訴えたのでした。
「でも、ある人がね。今日みたいな素敵な夜空をわたしに見せてくれて、こう言ったの。
『ほぅら。夜空にも雲はあるよね。月の光に照らしだされた煌めく色も。こういった色を描くためには、白のクレヨンは絶対に必要だよね。』
………そう言って、その人はわたしに黒い画用紙をくれたの。これを夜空だと思って描いてごらんって。」


