夜  話  

「…よく、わからないんだけど、その『月の光』をあなたに返して上げないと、あなたは困るのね?」


彼が困っている顔を想像すると、少し見てみたいという誘惑に、誘われてしまいたくなったのですが、どこかをひどく痛めているかのような表情をする彼を、からかうのは、良いことではなさそうでした。


「それって、本当にあのお月さまの、光なの?」


そう聞いたわたしに、彼は頷くことで返事をくれました。


「光を取り込むと、こんな美声になるのね。
…そうね。
わたしは歌を生業にしている訳ではないけれど、それでも返すのは惜しいと思ってしまうわね。」