涼やかな風は夜空を渡るように吹き抜けて行きます。


最近は仕事を詰めているわけでもないというのに、なぜだか疲れやすくて。


少し重く感じる身体を持て余しながら、わたしは窓辺に立って外を眺めました。


降り注ぐ月の光に、眼下の景色はあまねく金色に染め上げられています。


何故だか、今夜の月はいつもの白銀色ではなく、黄金色に近いように感じられました。


月の光の中に、豊穣の実りへの祈りが込められているとでもいうのでしょうか。


今年も豊かな実りを迎えた稲田の上に降り注ぐ月の光は、その豊かさを祝福しているかのようです。


そして、豊かな満月の光は皎が訪れる夜が来たのだという事をも、今夜のわたしに教えてくれていたのでした。