くすり、と思わず湧いた小さな笑みを喉の奥に飲み込んで、わたしは唇に触れている皎の指に口付けました。


それに驚いたかのように腕を引いた皎に、わたしは告げます。


「貴方のその優しさは、ちゃんと優しさとして深衣さんに届いていたのだと思うわ。
貴方がそれを否定したとしても、届いた答えがそう言っているもの。」


そう言ったわたしに、くすぐったいような様子を見せて皎はわたしに顔を寄せ、小さな囁きと。


首筋への口付けを残して。


吹き過ぎる風と共に、皎の姿はまた。


かき消すように見えなくなってしまったのでした。