夜  話  

「それは、本当にわたしの事なの?」


そう尋ねる、わたしに、彼は、見惚れるなよ、といいながら、顔を近付けました。


「間違いなく、おまえ、だよ。月に穴が開きそうなぐらい凝視して、月の光を全身で吸い込んで。」


そう言ってから、彼はあぁ、そうか、と、ひとりごちました。


「…歌ってみろよ。」


突然の彼のその言葉に、わたしは目を白黒させました。


「え?え?あ、あのっ、わたし、あんまり、いい声じゃあないから、人前で歌うのはちょっと…」


そう尻込みするわたしに、いいから歌えと、彼は最初の一音をくれました。