夜  話  

「帰りたい。」


ユウは深く更けた夜の王宮の窓辺から、空を見上げては月に向かい、何度も、何度も、心の底から絞りだすかのような想いを込めた切ない呟きを。


繰り返していた。


「故郷へ、わが国へ。老いた母の待つ、あの粗末な家へ。……わたしは、帰りたいのだっ!」


豪華な王宮で、世界の美食を極めた食事を食べ、贅沢な衣服に身を包んで、高尚な議論に興じていても。


ユウの心が満たされる事は無く、ただ。


ただひたすらに。


帰国できる日が来ることを、待ち望んでいるのだった。