夜  話  

「それまでは、月の世界も今ほど秘められた世界じゃなかった。月の道も今とは違って、常にこの世界に向けて開かれていた。…………あの時までは。」


そこで言葉を切り、皎はわたしと深く視線をからめました。


「……聴きたいか?」


そう尋ねてくれた彼はしかし、わたしが否と答えるはずなどないことも知っているのです。


「ええ。」


もちろん、と強く答えたわたしに皎は少し微笑み、それを目にして、わたしの胸がとくん、と大きく跳ねました。


しかし、そんなわたしの内心など知らない皎は、静かに語り始めたのでした。