そんな風に語り終えた皎の黒珊瑚色の髪に、さや、と吹き行く風がその指を絡めてから通りすぎて行きます。
皎の話してくれたお話に、わたしはいつの間にか静かに涙を流していたようでした。
「………また、泣かせたか?」
わたしの涙に気付いた皎が、小さく笑みを浮かべて、さし伸ばした指で流れる涙を拭ってくれます。
そのひんやりとした指先が当てられる感覚に、瞳を閉じて流れるままの涙を任せてしまいながら、わたしは届けられた荷物の中身と、つながらない差出人の連絡先の携帯電話の向こう側で何が起こっていたのかを、悟っていたのでした。


