ポケットの恋

南部がアパートの自分の部屋に帰った時には、もうとっくに5時を回っていた。
1時に花時計公園前で落ち合ったから、4時間弱一緒にいて、2時間程度喫茶店で話していたことになる。
意外と盛り上がったな。
そう思うと、不覚にもにやけるのを止められない。
明らかに、別れ際に幸日が「私もまたメールしますね」と恥ずかしそうに言ったことがにやけさせる手伝いをしている。
良い感じだろう。誰が見ても。
そんなことを考えながら、帰り道の途中コンビニで買った弁当を電子レンジに突っ込む。
チン、と小気味の良い音が鳴る前に、玄関のチャイムが響いた。
来た。古谷だ。
あの憎々しいチャイムの鳴らし方は確実古谷だ。
誰が鳴らしても大差ない事は頭から弾いて決め付けながら、南部は玄関のドアを開けた。
「こんばんは、秋仁」
案の定古谷だった。
南部が入れる前に、古谷はずかずかと上がり込んだ。
ちょうど弁当を温め終わったレンジが鳴る。
古谷は当たり前のように中身をとりだす。