ポケットの恋

考えている割に、手はいっこうに進まないのが釈然としない。
「この前はどうも的なのでいいんじゃない?」
眉間に皺を寄せていたら、横から古谷の助け船が入った。
もはや頼り切るしかない。
「わかった。…で次は?」
「それは秋仁が自分で考えなよ。でも無駄な敬語はやめたほうがいいよ。なんかウザイし」
うざいのか。確かに敬語ばかりの堅苦しい文で誘われても行く気はしない気もする。
自分で考えろと言われながらも散々添削してもらって、やっと文面が完成した。
「うん。いいんじゃない」
最後のチェックもクリアだ。
後は送るだけになる。
「送るぞ」
「どうぞー」
古谷の呑気な返事に合わせて、南部は送信ボタンを押した。
しばらくして、送信完了の文字。
後は返事を待つだけた。
おそらくその何日間かが一番恐ろしいのだろうが。
南部は軽く息を吐く。
携帯を閉じようとしたところで、急に焦った顔付きになった。
「どうした?」
「普通…お礼したいからなんか考えといてくれって言われて、しっかりお礼してもらうような図々しいやついないよな…?」
「そう?」
「普通の人間はお礼なんてって軽く流すよな?」