ポケットの恋


連絡した後しばらくして、ようやく警察がきた。
電話口では渋っていたが、俯いている幸日と、ガムテープでぐるぐる巻きの原田をみて、一瞬で飲み込んだらしい。
「すいません、あんまり騒ぐんで勢いにまかせてぐるぐると…」
気まずげに謝ると、警官は気持ち良く笑ってくれた。
実は原田は、以前も別の女性へのストーカーで届けられていたらしい。
前回はメールや電話でとどまっていて、一回目ということもあり注意だけで終わったが、今回は二回目で猥褻行為にまで及んでいたので、しっかりした処置が行われるということだ。
ぐるぐる巻きの原田をパトカーに押し込め終わった若い警官が、幸日と南部の方を振り返った。
「事情聴取をお願いできますか」
はい、と機械的にパトカーへ向かう幸日の手を、南部はしっかりと掴んだ。
驚いたように幸日が振り返る。
「すいません、本人まだ混乱してるんで、事情聴取は明日にしてください。連絡先教えるんで」
よくあることなのだろう。警官はあっさりと引いてくれた。
幸日と南部のアドレスを、それぞれ控え終えると明日の時間だけ伝えて、さっさとパトカーに乗り込む。