ポケットの恋

何回か殴って、男がやっと状況を理解したように腕で顔をかばった。
その腕の上からも、構わずに殴る。
俺の手が折れても、こいつの腕が折れても、もうどうでもいい。
幸日と目があった時に、口元に貼られたガムテープが見えた。
脇に転がっていたコンビニ袋の中のビニール紐も見えた。
そこまで用意周到に、お前は幸日を玩具にして遊ぼうとしたか。
そう思うとさらに怒りが込み上げて来て、思わず首を絞めようかとすら思った。
好い加減に手が痛い。痛いが、殴る手は止まらない。
そこでやっと、自力でガムテープを剥がした幸日が悲痛な声をあげた。
「南部さんやめてっ!!」