ポケットの恋

明日美がコーヒーをいれながら微笑んだ。
「秋田さんのとこ行きたいなら行ったほうがいいわ。今すぐは無理でも、その子と一緒に行くか、状況を説明して、もう一人の子に付き添ってもらった後でも」
「……そうですね」
頷きながら言葉を返す。
少し言葉につまったのは、まだ後ろめたさがあったからだ。
その時丁度、カウンターに置いてあったケータイが振動した。
液晶には『戸田幸日』。
見てすぐに財布を取り出した。
暗記した値段分、小銭を取り出す。
「ありがとうございました」
「はいはい…秋田さんここのところ元気無かったから。それもなんとかしてあげてね?」
お釣りの無い代金を受け取りながら、明日美が囁いた。
自信は、無いですけど。
そこまでは口にせず、会釈して店を出た。