ポケットの恋


とは言っても、顔は笑ったままだ。
「俺わかったかも、秋仁」
そうして口にした言葉に南部は目を見開いた。
「秋仁さ、自分のルックスとか性格とか。理解してる?」
「…は?」
唐突な言葉に腑抜けた声が出る。「秋仁さ、送ってくって言った時とか、もし緊張してても結構うまく隠すでしょ」
「あぁ…まあ」
「それ。その顔でそんなこと簡単にやられた女の子がどう思うと思うの?」
「はぁ…」
いまいち話が掴めない。
「秋仁ってさ、何気ない感じでジェントルマンなことするから女の子の方は焦ると思うよ。自分だけものすごい意識してるような気がして」
言っていることはわかる。
でもそれが自分達に当て嵌まるかと言われると微妙な気もした。
第一、
「それなら、幸日ちゃんのあの無自覚の接近とか微笑みとか優しさの方が反則じゃね!?」
再び机に突っ伏して、南部が小さく声を荒げる。
そうだ。古谷の言っていることが正しいのだとしたら、俺の方が馬鹿と言いたいくらいだ。
自分の緊張が相手に駄々漏れでなかったのは嬉しいが。