ポケットの恋


「あっきひとーぅ、今朝、どうだった?」
肩を叩かれて、南部は睨むようにして振り向いた。
トレーを持った古谷が予想通りに立っている。
溜め息をついて向き直ると、承諾も得ずに古谷は南部の正面に座った。
昼を少し外れた時間帯で学食は空いている。
「おまえ、またカレーなの?」
「いいだろ別に。大体そんな頻繁にこればっか食ってる訳じゃないし」
「いんや。確か一昨昨日も食ってた」
「どうでもいいだろ!気分だ気分!あと値段が手頃なをだ!」
「全く大学一のイケメンが、カレーなんて…。せめてABC定食のどれかにしなよー」
相変わらず茶化す口調の古谷に、南部は再びため息をつく。
「どうでもいいけど…取りあえず食えば?俺もう行くけど」
最後の一口を口に突っ込んで、南部は立ち上がろうとするが、当然のように当然のように古谷が止めた。
「待ってよー!話聞かせてよ。なんか不機嫌っぽいけど?おにーさんが相談にのってやろうか」
にこやかに古谷が言う。
南部は盛大に頬を引き攣らせたが、やがて諦めたように座り直した。