ポケットの恋

重ねられている手に汗が滲んでくるのでは、と気が気ではなかったが、ぎりぎり一万点を超えた辺りで、乗り物はゆっくりとスピードを落とした。
明るくなって、慌てて幸日が手を離す。
南部がピストルを所定の位置に戻したところで、おつかれさまでーすと係員の声がかかって、乗り物が止まった。
ベルトを外しながら前を見ると、すでに下りていた古谷が、ニヤニヤしながら見ていた。
目を反らして乗り物から降りる。
「楽しかったー?」
降りた途端、古谷がにやけた顔で近寄ってきた。
「楽しかったよ?な、幸日ちゃん。」
敢えて開き直ってみる。
横の幸日を振り向くと、幸日が笑って頷いた。
古谷は「よかったねぇー」としきりに頷くと、歩き出した。
真実もそれに続く。
「真実ちゃんどうかしたの?」
終始黙り込んでいた真実に幸日が話し掛けた。
「顔赤いし…なにかあった?」
「はぁ!?え、顔赤い?!」
ようやく声を発した真実は自分の頬を押さえる。
「うん。どうしたの?」
幸日が言うと、真実はすごい勢いで首を振った。
「別に!うん!景品楽しみだね!」
検討違いな発言はごまかしがバレバレだ。
幸日はそんな真実を見て、にっこり笑った。