手のひらに、桜




「中庭って・・結構便利だったんだね」



そういう茉莉の言葉通り、

中庭は、ひっそりと話すのには

ちょうどいい場所だった


A棟とB棟の間に挟まれて、

一見、誰からも見られやすい場所なのだが

実際は全く別だった


ちょうど、私たちが今いる

大きな桜の木の下は、

まるで桜の木に包まれているように

死角に入っていた


桜に囲まれているので、

いい気はしないが、

たしかに誰にも見られたくない時には

ぴったりの場所だ




「で、結局なんなんですか??」



私は、冷たい口調でそう尋ねた


さっきの怒りは、

時間がたったからといって収まりはしなかった



私の怒りとは少し違うが

先輩も同じのようだった




「俺は、さっきみたいに、紡ちゃんに別に、とかは言ってほしくない」



話を、さっきの話にいきなり戻す


いきなり、そんなこと言われたくない・・