手のひらに、桜



目が合った




遠くだけど、先輩が驚いているのが分かる


私は思わず、口を動かしてしまった


声には出さずに、口パクだけで



『が・ん・ば・っ・て・く・だ・さ・い』




それが伝わったのかどうか、

先輩は一瞬だけ、いつもの笑みを浮かべて

すぐに試合に集中する



ドキンドキンと、胸がなる





だめだ、あの笑顔・・・

不覚にもかっこいいなんて思っちゃったよ




試合が再開されて、

先輩はさっき以上に一生懸命ボールを追いかけた



周りは、もうさっきのような熱気が戻っていた




だけど―――


私の心は、なぜかさっきのようにはいかなくて、

ずっと先輩だけを目で追ってしまっていた