『せっかく女に生まれてきたんだから。な』 ぽん、あたしの頭に置かれた大きな手。 (あ――…) 『なに?惚れた?』 ぐしゃぐしゃ、髪の毛を鳥の巣にして笑った。 『ち、ちがうもん…』 (優しいんだ。先輩―…) 『あっそ』 また、タバコを取り出した。 大人な仕草。 『いる?』 『いらないよっ』 (先輩の香り…) 『さーってと。行くか』 『あ…バイト?』 『そ。……くる?』 『へ――?』