「姉ちゃん・・・・大橋さん、って彼氏とか、いんのかな・・・」
つぶやいた俺の言葉に、姉ちゃんは目を見張って、すぐにゆらゆらと視線を漂わせた。
「なぁに?あんた・・・・果歩ちゃん、気になる?もしかして」
いつもは滅多にさわらない俺のカメラに指をすべらすようにして、姉ちゃんは逆に質問してきた。
いつもの姉ちゃんなら、質問には絶対にまっすぐ球を打ち返してくるのに、その歯切れの悪さに、つい口がすべった。
「・・・・なんか、お前ヘン」
俺が、そういうと、姉ちゃんはぐっ、と息をのんでから言葉を続けた。
「お前」なんか言って、てっきり殴られるのかと思ってたのに、姉ちゃんは逆に少し震えたような声で、俺にたずねるんだ。
「好き、なの?果歩ちゃんのこと・・・・」
「は?・・・な、なに言ってんだよ」
ついうろたえた俺に、姉ちゃんは続けたんだ。
「もしかして・・・・覚えてる?」って・・・・
覚えてる?
何を?

