小畑さんが去った後も、俺は壁に背中をもたれかけたまま、動くことが出来なかった。 ひどい頭痛に、次第に耳鳴りさえなりだす中で、 俺は自分になくした過去があるということをようやく自覚することができたんだ。 思い出したい。 思い出すのが、怖い。 どっちなんだよ。 どっち・・・・? ざぁっ、と風が青草のにおいを巻き上げて頬をかすめていく。 ・・・・俺は、きっと彼女を好きだった。