ぼぅっ、と霞がかかったような記憶の壁が俺の前に立ちふさがるんだ。 そこを見つめようとすると、 「………つっ!」 片手で頭を押さえると、マネージャーがまたか、という顔で俺を見つめた。 「いけるか?ユウジ」 「はい……」 俺は、とどまるわけにはいかない。 ただ目の前に見える道を、すすむだけだ。 それが、正しいとか正しくないとか……そんなの関係なく。 「大丈夫です。いきます」 そう言って車の扉を開けた。