彼女が瑞貴を病室の外へとひっぱったその細い指も、
「瑞貴」って呼び捨てにするその声も、
無性にイライラして、どうしようもなかった。
・・・・こんなのは初めてではないはずなのに。
昔から瑞貴は、すげー人目をひくタイプだった。
そのくせ、特定の彼女がいるわけでもない。
むちゃくちゃモテるのに、同姓から恨まれることもないし。
完璧だな。
って思ってた。
しかも、たちがわるいのが・・・・
俺と趣味がまるかぶり。
好きなものも、
好きな女の子のタイプも、
いつもだいたい一緒で。
昔はそれでよくケンカをして、マアコに怒られてたけど、
俺はいつしか無意識に瑞貴と張り合うのをやめたんだ。
瑞貴は大事な友達だったし、
特に女の子のことでケンカするなんてかっこ悪い、って思ってたから。

