初めて貴方を見たのは入学式後の対面式。
初めて貴方の名前を知ったのは夏。
好きだと自覚したのは2月28日。



私はテニス部に憧れの先輩が居るからこの高校に来た。中学の時の2つ上の先輩。強くて優しくて大好きだった。



10月下旬
私は大好きだったテニスを捨てた。





そして





「この度陸上部に入りました、矢吹 遙です」

貴方に出逢った。





「陸上競技部副顧問、高梨 勝貴です。希望種目は??」
「ん~、テニスしてましたから槍投げやってみたいな、て思ってます」
「分かった。じゃぁまず佐藤に教えて貰って」
「はい」

其れが初めて1対1で話した時だった。
この時はまだ別に好きとかそういうんじゃなくて、「細くて格好良い」ぐらいしか思って無かった。

「遙~槍やろうぜ!!」
「ヨッシー!!今日は高跳び良いの??」

彼女は高校で初めて心を許せた佐藤 麻樹。何故か初めての会話が「俺、ヨッシーだから」だった。ヨッシーは高跳び、槍投げ、短距離…なんでもこなすオールラウンダーで今日本当は高跳びの予定だった。

「良いの良いの。どーせもりなやってるし」

もりな、て言うのは森田 李奈のもりなだ。

「よしっ!!基礎から教えてやる!!」

そう言って練習し始めた。時々李奈に呼ばれてヨッシーは高跳びに行ってしまった。
数分後副顧問で有る勝貴先生がやって来る。

「慣れた??」
「まだ握り形を覚えただけですよ」
「毎日、コツコツ頑張れよ」
「はい!!」



高校1年の11月。
私はテニス部から陸上競技部に転入した。