かほはひどく動揺し、ショックの余り茫然と座り込んだ。



《結婚してたってこと??》


《なんで山下なの?

なんで山下葵で郵便来てるの?》

《ここに引っ越してきたのが最近なら

この住所に郵便が届くわけないのに…》


様々な憶測が頭の中を巡る……



その日よしきが帰ってくると、かほは遠慮がちに、またさりげなく聞いてみた。


「ねぇ、山下葵様で通販来てるの、どうして?
結婚してたの?」


するとよしきは

半同棲状態だった。

彼女はこっちにいることが多かったので

自分の苗字を名乗って郵便物を送ってもらってた。


と説明した。


明らかにおかしいとは思いながらも、それ以上は問い詰めなかった。



誰にも言いたくない過去などある…


自分も言わないでいたことは幾つもあった。

それを許してくれたのだ。

問い詰める権利はない・・・・・


しかし、前の女の陰は見せない。

それが思いやりではないのだろうか…?


かほはそんな腹立たしさも感じた。