よしきからすれば

子供もいない

もう殆ど壊れている夫婦関係に

何故しがみついているのだろう…


そんな苛立ちもあっただろうが

常にこう言っていた。

「離婚して欲しいのはやまやまだけど

二人の問題だから、僕の立場でそれをどうこう言うことはできないし

言うべきでないと思ってる。

…離婚なんて簡単に行かないものだし

裁判になったら何年もかかることもある。

僕はそれくらいの覚悟はあるけど

いつまでも待っていられるかは、わからないよ…」
と―・・・・・・



またある時は

「なんでそんなに躊躇してるの?

他に問題あるの?」

そんなことも言った。


胸が痛い…


「子供いるから、生活あるし簡単に決められないんだよ!!」



かほは何度もそれを言いかけては、飲み込んでいた。


ホントは思い切り叫びたかった・・・・・


ホントのこと…


何故離婚に踏み切れないのか…


話してしまいたい衝動に何度も駆られたが

よしきを失いそうで

結局言えないまま

時は過ぎていった。