準備は完了した。

喜んで、美味しそうに食べるよしきを

見てるだけで胸がいっぱいで

かほは殆ど食べれなかったような気がする。



「やっぱ、さすが主婦だね。料理できるってすごいよね!
前の彼女、料理一切しなかったから…」


長年主婦をしてきたかほにとって

料理など当たり前のことだったが

前の彼女がしなかったことを

自分ができることが嬉しかった。



最初の頃

『まだ彼女が忘れられない』

そう言ってたよしき。

会話の中で

彼女を誉めることがたびたびあった。

未練があるんだな…

そう感じさせられることも多かった。



聞かされる度に切なかった・・・


胸が痛かった…



《きっと私は彼女以上になれない》



漠然とそんな想いを抱いていた。



だから

始めて彼女より勝るところを見つけたようで

もの凄く嬉しかった。



料理が得意なのは

ポイント高い…

でもそんなことは

本当になのだろうか…


それで男を引き止められるほど

重要ポイントではないような気が

今はしている…