もう充分、元の体重に戻っていたが
それでも欲が出るものだ。
まだまだ自分は太っている・・・・
もっと細くなりたい。
もっと綺麗になりたい。
いつかよしきを驚かせたい・・・・
その一念でやっていた。
半ば拒食症のような感じだった。
半年経つ頃には、ストレスも合いまって
体重は40キロを切ってしまっていた。
「痩せすぎじゃないの?」
という、周囲の言葉も
やっかみにしか聞こえなかった。
今度は合うサイズを探すのに苦労した。
一番小さいサイズでも緩い。
だが佳奈子は、それに優越感さえ覚えていた。
店員に
「細いですねぇ!」
と驚かれるのが、嬉しくてたまらなかった。
秀人もまた
「いい体になったなぁ
とても40の体じゃないよ、20代だよ」
と嬉しそうに誉めた。
だから、佳奈子は自分が痩せて美しくなった…
と勘違いしていた。

