Tears〜硝子細工の天使〜


その日の夜、早速祥子に電話をした。


「ねぇ、あれから話した?」

かほは好奇心一杯で祥子の返事を待った。


「うん。夕方かな…ゴルフ終わって電話したら、出なくてね。

そしたらその後掛かってきたよ」



「元気そうだった?

何だって?」

かほの期待は膨らむ一方だ。


「いや〜、それがさ…よくわかんないのよ。

『祥子さんが気になって。彼とは大丈夫ですか?』

って言うだけで、かなちゃんのこと、何にも言わないの」


祥子はバツイチの独身男と

いつもすったもんだ揉めていて

以前よしきに話を聞いてもらっていた。


「それでね、かなちゃん…すごく頑張ってダイエットして綺麗に痩せたんだよ

って、あたしの方から話題振ったの。

そしたら

『じゃあ、彼氏さんは喜んでるんじゃない?』

って言ったから

ん?彼?別れたよ、って言っといた」



かほはちょっと後悔した。

《フリー》という言葉が

《別れたよ》になってしまった。


祥子は佳奈子が

《別れた》ということにして欲しい

と捕らえたのだろう。