だが、佳奈子には秀人に借りがあった。


母子家庭で今は仕事もしていない…


経済的に余裕のない佳奈子に

いつも家族で食事に連れてってくれることはもちろん

洋服や鞄、靴などの佳奈子が着飾る物

それにお米やガソリン代など、助けられていた。


離婚前から乗っているファミリーカーは税金も高い。


それも「軽自動車に変えた方がいいよ」

と言って、一緒にディーラーを巡り

佳奈子が一番気に入った車を、秀人の名義だが買ってもらった。


ローンは月々、秀人の口座へ佳奈子が入れ

そこから、ローン会社が引き落とす形を取っていた。



親に金銭的にはもう充分過ぎるほど迷惑をかけていたので

つい、秀人の申し出に、安易に乗ってしまった佳奈子だった。


その時は、多分このままこの人と結婚するんだろうな・・・・

という気持ちだったので、有り難く秀人に甘えてしまったのだ。




もし、別れたら、車の件はどうなるのか・・・・


それを思うと、別れたいなどとは、到底言えなかった。