かほは家までの30メートルほどの距離を歩きながら
人目もはばからず、声を漏らし、泣いた。
通り過ぎる車やすれ違う人の視線を、気にしてなどいられなかった。
そして家に着くなり、布団の上で思い切り声を上げて泣いた。
15分位泣き続けた後、かほはふと、よしきがあれからどうしたのかが気になった。
かほの最後のセリフに、小さく
「ん…」
と頷いただけで、あとは殆ど無言だったよしき…
いつもなら、大きなエンジン音と共にすぐ発進し去って行く。
だが、さっきかほが家に着くまでの間
あの独特なエンジン音は聞こえなかった……
車が発進した様子がなかったことに気付いたかほは
ハッと我に返ると、慌てて玄関を出て、マンションの踊り場から公園の周りを見渡した。
すると・・・・・
さっきと同じ位置にまだ赤いスポーツカーが停車しているのが目に入った。
――よしきはまだいる…!
やっぱり別れたくない…って、戻ってくるのを待っているんだろうか…?
途端に胸騒ぎがして、いてもたってもいられない…
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