どの位沈黙が続いただろう……
「よしきの気持ちはわかったよ。
笑って、上手にかっこよく最後決めたいのに…
……涙でちゃうよ!」
顔を背けたまま、かほは泣き笑いをしながら、やっと言葉を発した。
一度くらい、泣き縋らずにカッコいい女を演じたい。
そう思っても、涙は次から次へと頬を濡らす。
これでは、いつもと一緒ではないか…!
涙よ、止まれ!お願い!!
最後に笑顔でさよならとかっこよく言わせて!
頭の隅のわずかに残る冷静さで、感情をコントロールするように、指令をかけた。
そしてかほは目を閉じて、深呼吸をした。
濡れた頬を拭い、落ち着いたところで
精一杯の作り笑顔でよしきの方を振り向いた。
「今までありがと。最後にこの笑顔忘れないで」
――言えた…!
言えたよ!!
自分を誉めてやりたいほど愛おしく
感慨にまた涙しないよう、急いで車のドアを開けて外に出た。
ドアを閉める前、車内を覗き込み
もう一度笑顔で言った。
「じゃあ、元気でね!」
ドアを閉めた途端、今まで我慢していた涙がどっと溢れてきた。

