Tears〜硝子細工の天使〜


「ちょっと待ってよ。

今日断ったからって、何で別れることになるの?

今まで、断ったことなかったよね?」

慌ててかほは突っ掛かる。


「だから、今日のことは関係ないよ。
別れようって思ってたんだ。

どっちみち引っ越すし…」


引っ越すということは、少し前から時々話には出ていた。


だが、それと別れることが何の関係があるというのだ。


「そんなの関係ないじゃん。
でも別れるっていうなら仕方ないね。

でも、最後に一目会いたい!

このままなんて悲し過ぎるよ…」

かほはすでに泣いていた。


「わかったよ。じゃあ今から行くよ」


まだ外はお日さまが高い位置にある。


よしきは昼で仕事が終わり、帰ってきたと言う。


かほは電話を切ると、急いで支度をした。


これで最後になるかもしれない。

だったら、一番綺麗な姿を目に焼き付けてもらいたい。


後で後悔するくらいに・・・・



もはや泣いている場合ではなかった。