Tears〜硝子細工の天使〜


梅雨空の合間に、夏を感じさせる太陽が時々顔を出す7月の始め―


秀人に嘘をつき、隠れてよしきと会うようになって、半年以上経った。



『今日会える?』

よしきからメールが届いた。


かほは迷った。


今日は秀人が来ることになっている。


いつもいつもどたキャンでは怪しまれる。



しばらく、(とは言っても、秀人とのしばらくは、せいぜい3.4日のことだが)

家に来ていなかったので、今日断るのは機嫌を損ねるだろう。

疑われるのも厄介だ。


そう判断して、よしきを初めて断った。



だがこの時ばかりはよしきも、引かなかった。


《我が儘言わないって言ったのに…!》


《困らせないで欲しいなぁ…》




『ホントに今日は無理だよ。

ごめん、明日ではダメ?』


『できれば今日がいいんだけど』


食い下がってくる。


それでも断固として、意思を変えないかほに


『もう君とは別れる』



またか・・・・


何でこうなるの??


ちょっと狡くない?



振り回されることに、いい加減疲れ果て

堪えきれない感情の波に、飲み込まれて行くようだった。