一方、秀人はいつも一緒に居たがり
いつもくっついていたいと願うタイプだった。
逆に佳奈子の方がうんざりするほどまとわり付いてくる。
佳奈子の心の壷はいつも満たんで、溢れ返っているほどだった。
いつも佳奈子が望む以上を与えてくれた。
まるで、壊れ物を扱うかのように大切に
至れり尽くせり世話を焼き、子供扱いし
愛おしくてたまらないという感情が
口に出さなくても、一つ一つの態度や行動に表れていた。
この深い愛情に甘えていられることも、やはり捨て難いものだった。
そんな秀人に申し訳なさを感じながらも
よしきへの断ち切れない想いを
佳奈子はどうしても心の奥にしまうことはできなかった。

